入社したとき、就業規則をちゃんと読んだ。
多くの人は読まないらしい。入社時にパワポのファイルで共有されて「重要な箇所だけ確認してください」と言われても、スライドをめくる気にならない。気持ちはわかる。
でも私は読んだ。理由は単純で、副業をするつもりだったからだ。
結果、副業はOKだった。届け出制でもなく、完全に自由だった。正直、拍子抜けした。
ただ、そこで安心して副業を堂々と始めたかというと、そうではない。
就業規則でOKをもらっても、「身バレだけはしたくない」という気持ちが残った。
この記事は、副業の可否よりも一歩先にある話をしたい。「会社にバレるかどうか」ではなく、「なぜ副業OKでも知られたくないのか」という、50代会社員のリアルな心理と戦略の話だ。
まず就業規則のどこを見ればいいか
就業規則は会社によって構成が違うが、副業に関する記述を探すなら「服務規律」「禁止事項」「兼業・副業」という章を見ればいい。目次があれば、そこからたどるのが早い。
副業に関する規定は、大きく3パターンに分かれる。
| パターン | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| 副業禁止 | 兼業・副業を一切禁止する旨の記載がある | 会社に相談するか、慎重に判断が必要 |
| 届け出制 | 副業は可能だが、事前または事後に届け出が必要 | 所定の書類を提出すればOK |
| 自由 | 特に記載がない、または明示的にOKとされている | 手続き不要で始められる |
私の会社は3番目だった。副業に関する記述がほぼなく、禁止も届け出も求められていなかった。
ただし注意点がある。「記載がない=自由」は正しいが、「競業避止義務」という別の条項が存在する会社もある。在職中に同業他社で働く、または同業のビジネスを立ち上げることを禁じるものだ。副業の内容が本業と重なる場合は、この条項も確認しておく必要がある。
就業規則は社内のイントラネットや総務部門で閲覧できることが多い。わからなければ人事や総務に「就業規則を確認したい」と伝えれば見せてもらえる。これ自体は何も疑われない、普通の確認行為だ。
副業OKでも、身バレだけはしたくない理由
就業規則で副業がOKだとわかった。それでも私は、社内の人間に副業をしていることを知られたくないと思った。
なぜか。理由は3つある。
理由① 社内の目線が変わる
副業をしていることが知られると、見られ方が変わる。
「仕事に本気じゃないのかな」「いつ辞めるつもりだろう」という目線が生まれる。言葉にされなくても、そういう空気は出る。50代という年齢は、ただでさえ社内での立ち位置が微妙になる時期だ。余計なノイズを自分から作る必要はない。
副業は会社の許可を得てやっている。やましいことは何もない。でも「正しいかどうか」と「賢いかどうか」は別の話だ。
知られないほうが、本業にも副業にも集中できる。
理由② 将来の計画を読まれたくない
私には、55歳で独立するという目標がある。副業はその準備の一環だ。
副業をしていることが知られると、「独立を考えているのか」と読まれる可能性がある。まだ準備段階の今、会社に手の内を見せる必要はない。
独立の意思を早い段階で知られると、プロジェクトへのアサインや評価に影響が出ることがある。「どうせ辞めるなら重要な仕事は任せなくていい」という判断をされるリスクがゼロではない。
副業は静かにやる。計画は自分の中だけで温める。それが50代の戦略的な動き方だと思っている。
理由③ 失敗したとき、静かにやめられる
副業は必ずうまくいくとは限らない。私自身、月35万円稼いでいたアフィリエイトサイトがGoogleアップデートで一夜にして収入ゼロになった経験がある。
もし副業していることを周囲に話していたら、失敗したときに「あの副業、どうなった?」と聞かれ続ける。それが精神的に地味につらい。
知られていなければ、うまくいかなかったときに静かにやめられる。また別の方法で再挑戦できる。失敗を人に説明する必要がない。
副業は長期戦だ。試行錯誤を繰り返す余地を、最初から確保しておくほうがいい。
身バレを防ぐために実際にやっていること
会社にバレる経路は主に3つある。それぞれに対策を取っている。
①住民税の金額変化からバレる
副業収入が年間20万円を超えると確定申告が必要になる。このとき住民税の金額が上がり、会社の経理担当者が気づくケースがある。
対策は、確定申告の際に住民税の納付方法を「普通徴収」に変更することだ。通常は給与から天引きされる「特別徴収」だが、副業分だけを自分で納付する形にすることで、会社側の住民税の金額に変化が出なくなる。
確定申告書の「住民税・事業税に関する事項」欄に「自分で納付」を選ぶだけだ。税務署の窓口でも、e-Taxでも設定できる。
②SNSや発信からバレる
ブログやSNSで副業の話を発信していると、同僚に発見されることがある。特に顔写真・本名・勤務先が特定できる情報が揃うと、身バレのリスクが高まる。
私は以下のルールで運営している。
- ハンドルネームで活動する(本名は出さない)
- 顔写真は使わない(似顔絵やアイコンで代替)
- 勤務先・業界が特定できる情報は書かない
- 会社の愚痴・批判は一切書かない
「ippo」というハンドルネームで活動しているのも、そのためだ。匿名でも、実体験と一次情報があれば読者からの信頼は得られる。むしろ「顔出し・本名」より「中身の濃さ」のほうが長期的には重要だと思っている。
③職場での会話からバレる
「週末何してるの?」「最近副業してる人多いよね」という会話の流れで、うっかり話してしまうケースがある。
対策はシンプルで、副業の話を自分から一切しないことだ。聞かれても「趣味でブログを書いている」程度にとどめる。嘘をつく必要はなく、詳細を話さないだけでいい。
信頼できる人に話したとしても、それが広がるリスクはゼロではない。「この人には言っていい」という判断は、できるだけしないほうが安全だ。
副業禁止だった場合はどうするか
就業規則を確認して、副業が禁止されていた場合の話もしておく。
まず、副業禁止の規定があるからといって、直ちに何もできないわけではない。禁止の範囲・理由によって対応は変わる。
確認すべき点は以下だ。
- 禁止の理由が「競業避止」なのか「労働時間管理」なのか
- 投資・不動産収入など「労働を伴わない収入」は禁止対象に含まれるか
- 社内に副業申請・相談の窓口があるか
近年、政府の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の影響で、副業を解禁する企業が増えている。就業規則が古いままで、実態として黙認されているケースも少なくない。
もし本格的に副業を始めたいなら、人事に「副業について相談したい」と持ちかけることも選択肢のひとつだ。相談すること自体は懲戒処分の対象にはならない。
就業規則の確認が終わったら、次にやること
就業規則を確認して、副業OKだとわかった。身バレ対策の方針も決めた。
次のステップは「自分に合う副業を選ぶ」ことだ。
副業の種類は多い。ブログ・アフィリエイト・フリーランス・コンサル・デジタルコンテンツ販売・YouTube・Webライター……それぞれに向き不向きがある。
50代には50代に合った副業がある。20〜30年のキャリアで積み上げた経験・スキル・人脈は、若い世代には絶対に真似できない強みだ。それを活かせる副業を選ぶことが、最初の成功確率を大きく左右する。
私が運営している副業診断ツールでは、10問の質問に答えるだけで、あなたに合う副業タイプを診断できる。診断後はタイプ別の始め方・収益イメージをメールでお届けしている。無料で使えるので、就業規則の確認が終わった後の次の一手として使ってみてほしい。
まとめ:就業規則の確認は「副業の第一歩」ではなく「戦略の土台」
就業規則を確認することは、副業を始めるための義務的な手続きではない。
自分がどういう条件の下で動けるのかを把握し、戦略を立てるための土台だ。
副業OKだからといって、周囲に話す必要はない。むしろ話さないほうが、長期的には本業も副業もうまくいく確率が上がる。
50代の副業は、若い頃のような「勢い」で始めるものではない。就業規則を読み、身バレ対策を考え、自分に合う副業を選ぶ。この順番で動くことが、遠回りに見えて一番の近道だ。
まず就業規則を確認する。それが、後悔しない副業の始め方だと思っている。

