ふるさと納税で失敗した話|住宅ローン控除を忘れて節税効果がゼロになった実例

ふるさと納税で失敗した話 お金・資産形成

ふるさと納税を始めて数年になる。「実質2,000円で返礼品がもらえる」というのが売り文句だが、正直に告白すると、ある年は実質2,000円では済まなかった。理由は単純で、住宅ローン控除との兼ね合いを考えずに限度額を計算していたからだ。

FP2級を持っている身としては恥ずかしい失敗だが、同じ勘違いをしている人は少なくないと思うので、正直に書いておく。保険営業として長年「お客様の家計を見る側」にいた人間でも、自分ごとになると見落としが起きる。それくらい、税金や控除の仕組みは組み合わせが複雑だということでもある。

そもそも、なぜふるさと納税を始めたのか

きっかけは単純で、周りの同僚が「返礼品でお米や肉がもらえてお得だ」と話していたのを聞いたことだった。NISAや資産運用にはそれなりに詳しいつもりだったが、ふるさと納税はどこか「面倒くさそう」という理由で後回しにしていた。実際に始めてみると手続き自体は簡単で、なぜもっと早くやらなかったのかと思ったくらいだった。

最初の1〜2年は、住宅ローン控除を受ける前だったこともあり、単純な年収ベースのシミュレーターでも大きな問題はなかった。問題が起きたのは、住宅ローン控除の適用が本格的に始まってからの年だった。

ふるさと納税の「実質2,000円」の仕組み

ふるさと納税は、自治体に寄付をすると、寄付額から2,000円を引いた金額が「翌年の住民税」と「その年の所得税」から控除される仕組みだ。年収や家族構成に応じて「この金額までなら実質2,000円で済む」という上限額が決まっている。多くの人はこの上限額をネット上のシミュレーターで計算して、その範囲内で寄付をする。

自分もそうしていた。年収を入力するだけの簡単なシミュレーターに数字を入れて、出てきた上限額まで寄付をしていた。

住宅ローン控除が、所得税をほぼゼロにしていた

見落としていたのは、自分がすでに住宅ローン控除を受けていたことだ。住宅ローン控除は所得税額そのものを大きく減らす制度で、借入額や年数によっては所得税がほぼゼロに近くなる。

ふるさと納税の控除は、まず所得税から差し引かれ、残りが翌年の住民税から差し引かれる仕組みになっている。住宅ローン控除で所得税がすでに小さくなっていると、ふるさと納税で引ける所得税の枠自体が狭くなる。住民税側にも上限(住民税所得割額のおおよそ2割)があるため、単純な年収ベースのシミュレーターが想定している「引ける枠」と、自分の実際の枠がずれてしまっていた。

結果として、確定申告後に届いた通知を見て気づいた。想定していたより、控除される金額が明らかに少ない。差額は、実質的に「返礼品を定価で買った」のとほぼ同じ状態になっていた。

ワンストップ特例ではなく確定申告を選んでいたことも影響した

ふるさと納税には、確定申告をしなくても手続きできる「ワンストップ特例制度」がある。ただし自分は、副業のアフィリエイト収入があった時期から確定申告が必須になっていたため、ふるさと納税もあわせて確定申告で処理していた。

ワンストップ特例を使う場合は住民税だけで完結する控除になるが、確定申告をする場合は所得税と住民税の両方に分かれて控除される。今回のように住宅ローン控除で所得税がほぼゼロになっていると、確定申告経由の場合は「所得税から引く分」がそもそも引ききれず、住民税側の上限にすぐぶつかってしまう。副業をしていて確定申告が必要な人ほど、この点への注意が必要だと、後になって気づいた。

簡単なイメージで説明すると

正確な数字は年収や控除額によって人それぞれ変わるので、あくまでイメージとして説明する。

年収だけを見たシミュレーターが「あなたの上限は10万円です」と表示したとする。この10万円という数字は、住宅ローン控除を考慮していない、いわば「住宅ローンを組んでいない人と同じ条件」で計算された金額であることが多い。

ところが実際には、住宅ローン控除で所得税がすでに大きく減らされている。ふるさと納税の控除のうち、所得税から引かれるはずだった分の「引き先」が小さくなっているため、住民税側の上限(住民税所得割額のおおよそ2割)を超えた分は、控除しきれずに自己負担として残ってしまう。表示された10万円をそのまま使うと、実際に引ける枠を超えて寄付してしまうことになる。

この「引ける枠を超えた分」が、そのまま自己負担の増加になる。金額の大小はあれ、仕組み自体はこういうことだった。

気づいたときの正直な気持ち

金額としては、何十万円も損したわけではない。ただ、「お得なはずのことをして、実は得していなかった」という事実に、地味にへこんだ。FP2級を持っていて、家計管理の記事まで書いている自分がこれでは説得力がない、とも思った。

言い訳をすると、住宅ローン控除とふるさと納税は、それぞれ別々に情報収集していた。住宅ローン控除は住宅購入時に、ふるさと納税は数年後に別のタイミングで調べた。両方を同時に考える必要があるという発想が、そもそもなかった。

今、やり方をどう変えたか

翌年からは、次の2つを必ず確認するようにした。

  • 住宅ローン控除の適用状況を先に確認する:源泉徴収票や確定申告の控除額を見て、所得税がどこまで減っているかを把握する
  • 住宅ローン控除の影響を加味できるシミュレーターを使う:単純な年収入力型ではなく、住宅ローン控除額や他の控除額を入力できるタイプのシミュレーターに切り替えた。多くのふるさと納税サイトが、詳細版のシミュレーターを別に用意している

それでも100%正確な金額は分かりにくいので、上限ギリギリまで攻めるのではなく、少し余裕を持たせた金額に留めるようにしている。攻めすぎて損をするより、少し手前で確実に得をする方を選んだ。

具体的には、寄付する前に次の順番で確認するようにしている。

  • ①前年の源泉徴収票・確定申告書を見る:住宅ローン控除・その他の控除で、実際に納めた所得税・住民税がいくらだったかを確認する
  • ②詳細版シミュレーターに、実際の控除額を入力する:年収だけでなく、住宅ローン控除額・社会保険料・その他の控除を入力できるシミュレーターを使う
  • ③出てきた金額の8〜9割を目安に寄付する:シミュレーターの数字通りギリギリまで攻めず、多少の誤差を見込んで少し手前で止める
  • ④確定申告かワンストップ特例か、自分がどちらを使うか先に決めておく:確定申告が必要な人(副業収入がある等)は、住民税側の上限にぶつかりやすいことを踏まえて金額を決める

この4つを寄付前に確認するようになってから、想定と実際のずれはほとんどなくなった。手間は多少増えたが、「お得なはずが損をする」という事態はもう避けられている。

他の控除との組み合わせにも要注意

今回の失敗をきっかけに、控除は「単体」で考えてはいけないと学んだ。住宅ローン控除以外にも、次のような控除がある人は、同じようにふるさと納税の上限がずれやすい。

  • 医療費控除:医療費が多くかかった年は所得税・住民税の課税所得が下がり、ふるさと納税の上限も下がる
  • iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除になるため、課税所得が下がりふるさと納税の上限に影響する
  • 年の途中での転職・退職:年収の見込みが変わるため、シミュレーターの前提とずれやすい

我が家の場合、NISAや仮想通貨の運用はあっても、これらは基本的に課税所得に直接影響しないため、今回の件とは切り分けて考えられた。ただ、控除項目が増えるほど、単純な年収ベースのシミュレーターとの誤差は大きくなる。「今年、いつもと違う控除が発生していないか」を寄付前に一度立ち止まって確認する習慣が大事だと思う。

特に50代は、住宅ローン控除に加えて、子どもの教育費が重なる時期でもある。教育費そのものは控除の対象ではないが、この時期は家計の変動要素が多く、去年と同じ感覚でふるさと納税の金額を決めてしまいがちだ。我が家では子ども4人分の教育費を毎月管理しているが、そういった支出の管理と、控除・税金の管理は、別の頭で考える必要があると実感している。

住宅ローン控除を受けている人に伝えたいこと

住宅ローンを組んでいる人がふるさと納税をする場合、年収だけを入力する簡易シミュレーターの数字を鵜呑みにしないでほしい。住宅ローン控除の額によって、実際に引ける枠は変わる。特に住宅ローンを組んだばかりで控除額が大きい時期は、ずれが大きくなりやすい。

我が家の住宅ローンの状況についてはこちらの記事に書いている。住宅ローンと他の控除を同時に考える必要があるのは、ふるさと納税に限った話ではないと思う。

お得なはずの制度で損をしないために、「制度単体」ではなく「今の自分の控除状況全体」で考える。当たり前のようで、意外と見落としがちなポイントだと思う。

よくある疑問

Q. 住宅ローン控除があると、ふるさと納税はできないのか

できないわけではない。上限額の計算が単純な年収ベースのシミュレーターとずれやすい、というだけの話だ。住民税側の控除枠(住民税所得割額のおおよそ2割)を意識して、控えめな金額にしておけば大きくずれることは少ない。実際、自分も翌年以降はふるさと納税自体はやめておらず、金額と確認方法を変えただけで問題なく続けられている。

Q. 正確な上限額を知るにはどうすればいいか

源泉徴収票や確定申告書の控除額まで入力できる詳細版シミュレーターを使うか、税務署・税理士に確認するのが確実だ。自分の場合、翌年からは詳細版のシミュレーターに切り替え、出てきた金額よりさらに1〜2割控えめに寄付するようにしている。

Q. 一度損をした分は取り戻せるのか

寄付してしまった年の分は、基本的に取り戻せない。ワンストップ特例の申請忘れのように後から救済できるケースもあるが、上限額を超えて寄付した分の自己負担増加については、事後に取り戻す手段は基本的にない。だからこそ、寄付する前の確認が大事だということを、身をもって学んだ。

Q. 住宅ローン控除以外の理由で上限がずれることはあるか

ある。ボーナスの支給額が前年と大きく変わった年、副業の収入が急に増減した年なども、年収ベースのシミュレーターの前提とずれやすい。特に会社員で副業をしている人は、本業の年収だけでシミュレーションしてしまいがちなので、十分注意してほしいところだ。

Q. FP2級を持っていて、なぜ気づかなかったのか

正直に言うと、資格の勉強で学ぶ制度の話と、自分ごととして毎年の手続きに落とし込む作業は、別物だと痛感した。知識として知っていることと、実際に自分の状況に当てはめて確認する習慣があることは、イコールではない。この失敗以来、「知っているから大丈夫」と思っている制度ほど、一度立ち止まって確認するようにしている。資格の勉強で得た知識は、あくまで土台でしかないのだと思う。

まとめ

  • ふるさと納税の上限額は、年収だけでなく住宅ローン控除・医療費控除・iDeCoなど他の控除の影響を受ける
  • 簡易シミュレーターは住宅ローン控除を考慮していないことが多く、そのまま鵜呑みにすると上限を超えて自己負担が増える
  • 確定申告が必要な人(副業収入がある等)は、住民税側の上限にぶつかりやすい点にも注意
  • 寄付前に「源泉徴収票の確認→詳細版シミュレーター→8〜9割の金額で寄付」の順で確認すれば、大きなずれは防げる

ふるさと納税に限らず、税金や控除の制度は「知っているつもり」が一番危ない。特に住宅ローンや教育費など、複数の支出・控除が重なる50代は、毎年同じ感覚で手続きを繰り返すのではなく、その年の状況に合わせて一度立ち止まって確認する価値があると、今回の失敗から学んだ。小さな失敗で済んだのは、むしろ運が良かったのかもしれない。

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この記事は個人の家計管理経験に基づく記録です。制度の詳細や控除額、上限額は個人の状況により大きく異なるため、正確な金額については税務署や税理士に個別にご確認ください。

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