オール電化の家は、停電が起きた瞬間に「調理・お湯・照明・スマホ充電」が全部止まる。ガスという逃げ道がないからだ。
この記事では、オール電化家庭が停電時にポータブル電源でどこまで対応できるのかを、実際にEENOUR P5000PROを使ってみた経験と実測をもとに一覧表でまとめる。「何が使えて、何が使えないのか」を先に知りたい方向けの早見ガイドだ。
(※わが家がポータブル電源を選んだ経緯や購入の決め手はこちらの記事で詳しく書いている)
オール電化の家で停電が起きると何が困るか
ガスがある家との違いを整理すると、停電の影響がいかに大きいかがわかる。
| 困ること | ガスあり | オール電化 |
|---|---|---|
| 調理 | カセットコンロで代替可 | IHが使えず詰む |
| お湯を沸かす | ガスコンロで可 | 電気ケトルが使えない |
| 給湯・風呂 | ガス給湯器で可 | エコキュートが止まる |
| 照明 | 停電で同じく不可 | 停電で同じく不可 |
| スマホ充電 | 停電で同じく不可 | 停電で同じく不可 |
ガスがあれば調理とお湯はなんとかなる。でもオール電化はその逃げ道がない。停電=「食事・情報収集・衛生」がすべて止まる。
特に子どもがいる家庭では、食事が確保できないことへの不安が大きい。「今日は何を食べればいいのか」という問題が、停電初日から発生する。カセットコンロを備えておけば調理はできるが、それだけでは照明もスマホも解決しない。トータルで電気をカバーする手段が必要だ。
もう一つ見落とされがちなのが、エコキュートだ。オール電化のお湯はエコキュートに蓄えられている。停電直後は残り湯が使えるが、翌日以降は補充できなくなる。長期停電では、入浴・洗い物・手洗いにも影響が出てくる。
停電が起きたら、まずやるべき3つのこと
ポータブル電源を持っていても、停電の瞬間に何から手を付けるかで、その後の余裕がだいぶ変わる。実際に経験して身についた優先順位を書いておく。
① まずスマホを充電する
停電直後は情報が一番大事だ。復旧見込み・避難情報・近隣の状況、これらはほぼスマホでしか手に入らない。バッテリー残量が減っている状態で長時間停電に入ると、情報収集の手段そのものを失う。「まずスマホを満タンにする」を最優先にしている。
② 冷蔵庫は開け閉めを最小限にする
ポータブル電源で冷蔵庫を長時間動かすのは容量的に厳しい(前述の表の通り、突入電流の関係で対応できない機種も多い)。停電中は扉の開閉を最小限にすることで、庫内温度の上昇を数時間遅らせられる。夏場でも半日程度は保冷剤代わりに機能することが多い。冷凍庫に保冷剤や凍らせたペットボトルを常備しておくと、この時間をさらに延ばせる。
③ 米を研いでおく・水を確保する
断水は停電と同時に起きるとは限らないが、水道のポンプ設備が停止して断水になるケースもある。オール電化+断水が重なると、炊飯すら難しくなる。停電に気づいた時点で、米を研いでおく・湯船やポリタンクに水を確保しておくと、後の選択肢が広がる。
ポータブル電源で「使える家電」「使えない家電」
ポータブル電源で動かせるかどうかは、主に2つで決まる。「消費電力(W)」と「起動時の突入電流」だ。
容量(Wh)は「どれだけ長く使えるか」、出力(W)は「同時にどれだけの電力を使えるか」を表す。消費電力の大きい家電は出力の上限を超えるため動かせない。また冷蔵庫やエアコンのようにコンプレッサーを持つ機器は、起動時に定格の3〜7倍の電流が瞬間的に流れるため、出力的に余裕があっても動かないケースがある。
| 家電 | 消費電力の目安 | ポータブル電源での使用 |
|---|---|---|
| スマホ充電(1台) | 15〜20W | ◎ 問題なし |
| LED照明 | 8〜15W | ◎ 問題なし |
| 扇風機 | 30〜50W | ◎ 長時間使用可 |
| ノートPC | 30〜60W | ◎ 問題なし |
| 電気毛布 | 50〜100W | ◎ 問題なし |
| 炊飯器 | 500〜700W | ○ 使用可(大容量モデルで) |
| 電気ケトル | 1000〜1300W | ○ 使用可(大容量モデルで) |
| 電子レンジ | 700〜1500W | △ 機種によって可否あり |
| 冷蔵庫 | 100〜200W(突入電流あり) | △ 対応機種・容量次第 |
| エアコン | 700〜2000W(突入電流大) | ✕ ほぼ使用不可 |
| IHクッキングヒーター | 1000〜3000W | ✕ 大容量でも厳しい |
| 電気温水器・エコキュート | 1000〜4500W | ✕ 使用不可 |
結論として、「調理・充電・照明」はポータブル電源でカバーできる。エアコンと給湯はカバーできない。この割り切りが、現実的な防災備えにつながる。
電子レンジについては、機種によって差が大きい。消費電力が700W程度の小型モデルであれば動かせる場合もあるが、1500W以上のモデルは厳しい。手持ちの電子レンジの消費電力を確認してから判断するといい。冷蔵庫も同様に、省エネ型の小型冷蔵庫であれば対応できる場合があるが、大型の冷蔵庫はコンプレッサーの突入電流が大きく、動作しないことが多い。
停電時の現実的な生活イメージ
ポータブル電源があれば、停電時にこれだけのことができる。
- 電気ケトルでお湯を沸かして、インスタント食品やカップ麺を食べる
- 炊飯器でご飯を炊く(停電前に米を研いでおけば対応できる)
- スマホを充電して、ニュースや行政の情報を確認する
- LEDランタンや照明で部屋を明るくする
- 扇風機を動かして夏の暑さをしのぐ
- ノートPCを使って仕事・連絡・子どもの勉強を続ける
実際に停電を経験したとき、電気ケトルでお湯を沸かし、炊飯器でご飯を炊き、スマホ3台を充電した。子どもたちも落ち着いて過ごせた。「電気がある」という事実が、パニックを防いでくれる。
スマホが使えることは思った以上に重要だ。停電中に必要な情報はほぼすべてスマホで手に入る。行政の避難情報、復旧見込みの情報、近隣の開いているスーパーの情報。これらを入手できるかどうかで、対応の選択肢が大きく変わる。充電できない状態でスマホのバッテリーが切れると、一気に孤立した状態になる。「スマホを充電できること」だけでも、ポータブル電源を持つ価値は十分にある。
ここで意識しておきたいのが「1日で終わる停電」と「数日続く停電」では対応が変わるということだ。1日で復旧するなら、手持ちの容量を気にせず使ってしまってよい。数日続く見込みが立った場合は、充電(照明・スマホ)を優先し、炊飯器や電気ケトルの使用回数を絞るなど、容量を配分する意識に切り替える必要がある。
どれくらいの容量が必要か
家族の人数と使いたい家電の消費電力から、必要な容量の目安を計算できる。
1〜2人暮らし:1000〜2000Wh
スマホ充電・照明・電気ケトルを1〜2日使える容量。コンパクトで価格も抑えられる。頻繁に持ち運ぶ用途にも向いており、キャンプや車中泊と兼用できるメリットもある。防災専用として割り切るなら、まず持つべきエントリークラスだ。
3〜4人家族:2000〜3000Wh
炊飯器・電気ケトル・スマホ複数台・照明を1〜2日まかなえる。家族4人程度であれば、このクラスで多くの場面に対応できる。価格と容量のバランスが取れており、オール電化家庭の防災用途として最もコスパが高いゾーンだ。
5人以上の大家族・オール電化:4000Wh以上
我が家(6人)が選んだのがこのクラスだ。5120WhのP5000PROで、炊飯・充電・照明を複数日にわたって使える。ソーラーパネルと組み合わせれば、長期停電でも電気が完全に尽きることなく対応できる。価格は高いが、家族が多いほど「電気が使えること」の価値は大きくなる。
ソーラーパネルと組み合わせるという選択肢
停電が1〜2日で終わるなら容量だけで乗り切れるが、1週間以上に及ぶ場合は「充電手段」が必要になる。ソーラーパネルを組み合わせれば、晴れた日に充電しながら使い続けられる。太陽光をメインの電源手段にするか、ポータブル電源の補助として使うかは判断が分かれるところだ。わが家が「太陽光を見送ってポータブル電源を選んだ」判断基準は、見積金額や回収年数の試算も含めて別の記事に詳しくまとめている。

夏の停電対策:エアコンが使えない問題をどう乗り越えるか
ポータブル電源の弱点として正直に書いておく。エアコンはほぼ使えない。
エアコンのコンプレッサーは起動時に大きな突入電流が発生し、定格出力の大きなポータブル電源でも対応できないケースが多い。理論値では動かせそうでも、実際には保護回路が働いてエラーになることがほとんどだ。最近は「エアコン対応」を謳う超大容量モデルも出始めているが、価格が数十万円台と非常に高く、一般家庭向けの選択肢としてはまだ現実的でない。
夏場の停電で熱中症リスクに備えるには、以下の組み合わせが現実的だ。
- 扇風機(30〜50W):ポータブル電源で長時間使用可。5120Whなら100時間以上使える計算だ
- 冷却グッズ:冷却タオル・冷感マット・保冷剤。電気不要で体温を下げられる
- 昼間の外出:図書館・ショッピングモール・避難所など空調のある場所に移動する
- 夜間の換気:気温が下がる夜間に窓を開けて部屋の熱を逃がす
- 凍らせたペットボトル:前日から冷凍しておくことで、停電後も数時間は冷たさを維持できる
エアコンが使えないことを前提に、「それでも生活を続けられる手段」を組み合わせておくことが重要だ。特に高齢者や幼い子どもがいる家庭では、熱中症対策を別途具体的に計画しておくことをおすすめする。
まとめ:オール電化の停電対策、表で確認しておこう
- オール電化の家は停電時のダメージが大きい。ガスという逃げ道がないからだ
- 停電直後は「スマホ充電→冷蔵庫の開閉を控える→米研ぎ・水確保」の順で動くと余裕が生まれる
- ポータブル電源があれば「調理・充電・照明」はカバーできる。エアコン・IH・エコキュートには対応できない
- 家族の人数が多いほど大容量が必要。5人以上のオール電化なら4000Wh以上が目安
- ソーラーパネルとセットにすれば長期停電にも対応できる
- 「使えること」より「使えないことを知ること」が、現実的な備えにつながる
防災備蓄は「水・食料・電源」の3点セットで考えてほしい。特にオール電化の家では、電源確保が生活の質を大きく左右する。完璧な備えは難しくても、「スマホが充電できる」「温かいご飯が食べられる」だけで、災害時の精神的な余裕は大きく変わる。
具体的な製品の選び方や購入までの経緯は以下の記事で詳しく書いている。購入を検討している方はあわせて読んでほしい。


