糖尿病と診断されてから、食事管理をどうするかが最初の課題だった。
実は10年ほど前にレコーディングダイエットをやっていたことがある。食べたものをノートに書いて記録する方法だ。当時はすぐにやめてしまった。書くことが面倒になったからだ。三日坊主どころか、一週間も続かなかった。
だから糖尿病の食事管理を始めるにあたって、「また同じことになるんじゃないか」という不安があった。でもChatGPTを組み合わせることで、10年前とはまったく違う続け方ができるようになった。
糖尿病発症のきっかけ
コロナでICUに45日間入院し、退院後に糖尿病を発症した。もともと血糖値が高かったわけではない。コロナの治療で使ったステロイドの影響と、長期入院による筋肉量の低下が重なったと医師から説明を受けた。
退院後に測定したHbA1cは7.1。糖尿病の診断基準である6.5を大きく超えていた。医師からは食事制限と運動を指示されたが、コロナ後遺症で体が動かない状態での食事管理は思った以上に難しかった。栄養士の指導も受けたが、具体的な「今日の献立」までは教えてもらえない。結局、自分で考えるしかなかった。そこにChatGPTを組み入れることにした。診断を受けてすぐだった。
実際の使い方|1日の食事ログをそのまま貼る
使い方はシンプルだ。1日の食事をすべて記録して、そのままChatGPTに貼り付ける。
例えばこんな具合だ。
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6/1 朝食
6:30 豆乳、ゆで卵、おにぎり、ヨーグルト
リモートワーク
10:00 アーモンド5粒
13:00 昼食 かけそば(わかめ大盛、温玉)
16:00 アーモンド5粒、チョコ1つ
20:00 夕食 豆もやし、キムチ、めかぶ、豆腐、納豆、みそ汁、餃子5個、もち麦入りご飯3/4杯程度
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これを貼る前に、最初にこう伝えている。「あなたはプロの栄養士で糖尿病専門医です。その観点からアドバイスしてください」と。このひと言でChatGPTの回答の精度が上がる。専門家の立場で答えるよう設定することで、一般的な情報ではなく医療・栄養の専門知識に基づいたアドバイスが返ってくるようになる。 その後に食事ログを貼って「今日の食事を評価してください」と付け加える。それだけだ。返ってくる内容は具体的だ。目安のカロリー・糖質量・たんぱく質量を出してくれる。「この食材をこう食べるとより良い」という調理法のアドバイス、飽きない食べ方のバリエーションまで提案してくれる。
10年前のレコーディングダイエットは「書いて終わり」だった。記録が次の行動につながらなかったから続かなかった。今は「記録→AIが評価→改善点がわかる」という流れができている。記録することに意味が生まれた。それが続けられている一番の理由だと思っている。
ChatGPTから得た具体的な気づき
特に参考になったのは「食べる順番」「間食の選び方」「そばの食べ方」の3つだった。
血糖値を上げにくくするには、野菜・たんぱく質を先に食べてから炭水化物を食べる順番が有効だと教わった。それ自体は知識として知っていたが、「あなたの今日の夕食なら、豆もやし・豆腐・めかぶを先に食べて、ご飯は最後にしてください」と自分の食事に当てはめて説明されると、実践しやすかった。
間食のアーモンドについては「5粒は少なめですが、糖質が低く血糖値を上げにくい良い選択です。20粒程度まで増やしても問題ありません」と言われた。チョコレートについては「カカオ70%以上のものに変えると血糖値への影響が少なくなります」とアドバイスされ、実際に切り替えた。コンビニで買うものが変わった。
そばについても「かけそばはうどんより低GIですが、わかめ・温玉を入れているのは良い選択。食べる前に温玉を崩して混ぜてから食べると血糖値の上昇が緩やかになります」という具体的なアドバイスが返ってきた。こういう「自分の実際の食事に即したアドバイス」が、抽象的な食事指導より体に入ってきた。
外食でも記録できる|写真を撮るだけでいい
外食でも記録は続けている。
メニューに栄養成分やカロリーが記載されている店では、その表示を写真に撮ってChatGPTに見せる。記載がない店でも、料理の写真を撮って「これを食べました。糖質とカロリーの目安を教えてください」と送ると、見た目から目安を示してくれる。完全に正確ではないが「大体これくらい」という感覚を持てるだけで十分だ。
外食が多い月はHbA1cが悪化することがわかってきた。記録があるから「なぜ悪化したか」の理由が見える。感覚ではなくデータで振り返れる。これが記録を続ける動機にもなっている。
家族と同じ食卓で無理なく続ける
子どもが4人いる。家族全員で同じものを食べることが多い。自分だけ別メニューを用意するのは現実的ではない。
だから特別なことはしていない。同じ食事を、量を工夫して食べる。ご飯を少し減らす、野菜を先に食べる、それくらいだ。自分だけ追加したいものがある時は「食べる?」と子どもたちに聞く。食べそうなら分けてあげる。食事の時間を楽しくすることのほうが大事だと思っているから、ストイックにやりすぎないようにしている。
体調が悪い日も記録をやめない理由
コロナ後遺症で体調が悪い日は今も続く。そういう日も記録はしている。
体調が悪い日に食べたものが記録に残っていると、その後どうなったかが追える。「この日にこれを食べたら翌日調子が良かった」「あの食事の後から体が重くなった」という因果関係が、記録があるから見えてくる。体調の変化と食事の関係を自分なりに分析する根拠になる。完調でない体と長く付き合っていくためのデータ蓄積だと思っている。
お酒もスナックも食べる。それでもAIは優しい
頑張りすぎないことを意識している。
お酒も飲む。おつまみやスナック菓子も食べる日がある。それでも記録する。正直に全部入力する。すると、ChatGPTは責めない。「今日はお酒がありましたね。明日の朝食に野菜を意識して取るといいですよ」といった具合に、前向きな言葉が返ってくる。
人間の栄養士や医師に「昨日お酒飲んで、スナック食べました」と言うのは少し気まずい。でもAIはそういう感情的なプレッシャーがない。何を食べても淡々と評価してくれる。その「優しさ」が、記録を続ける大きな理由になっている。
面倒になったことはない。ただ忘れることはたまにある。そういう時は過去の日付で後から入力する。完璧にやる必要はない。続けることが大事で、抜けた日があっても「まあいいか」と思える余裕が、長く続けるコツだと実感している。
HbA1cの推移|1年半で7.1から6.1へ
結果として、HbA1cは1年半かけて7.1から6.1に下がった。一直線ではなかった。上がったり下がったりしながらの1年半だった。外食が続いた月は数値が悪化した。体調を崩して食事管理が雑になった時期もあった。それでも記録を続けることで「悪かった時期に何を食べていたか」が振り返れた。次の月の改善につながった。
主治医に「ChatGPTで食事管理をしています」と伝えたら、「大いに使ってほしい。今は便利なツールがたくさんあるから、自分に合った方法を続けてください」と言われた。医師が肯定してくれたことで、後ろめたさなく続けられるようになった。
50代がAIを食事管理に使う意味
道具を使うのは当然のことだ。包丁で料理するように、ChatGPTで食事を考える。それだけのことだ。
50代は体の変化が加速する年代だ。糖尿病、高血圧、コレステロール。一つひとつに向き合いながら仕事も家事もこなす。使えるツールは何でも使う。その割り切りが、この年になってようやくできるようになった気がする。
ChatGPTは私にとって「24時間相談できる栄養士」のような存在だ。怒らないし、何度聞いても嫌な顔をしない。お酒を飲んだ翌日も、スナックを食べた夜も、正直に記録すれば優しく次の一手を教えてくれる。そのハードルの低さが、10年前にできなかった「続ける」を実現させてくれた。
HbA1cが7.1から6.1になったのは、薬だけの効果ではない。1年半、上がり下がりしながらも食事の記録を続けた積み重ねだ。今日も記録する。それだけのことを、これからも続けていくつもりだ。
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この記事は個人の体験に基づく記録です。糖尿病の治療・食事管理は必ず主治医の指示に従ってください。
この記録と並行して、持病がある前提での保険の見直しも進めました。実際の内容はこちらに書いています。 家族6人分の保険を元プロが設計した話

