住宅ローンが残ったまま休職した。傷病手当金と貯金で乗り切った1年半の記録

住まい

住宅ローンが残ったまま、休職した。

最初の休職は期間を決めていたわけではなかった。「少し休めば戻れる」と思っていたが、結果的に約6か月になった。2回目の休職は約1年。合計で約1年半、傷病手当金をほぼ使い切った。その間ずっと、住宅ローンの返済は止まることなく続いていた。

「ローンを払えなくなったらどうしよう」という不安は、体の不安と並んで、休職中の私を常に追い詰めた。でも実際にどうやって乗り切ったのか、同じ状況になる可能性がある方のために正直に書いておく。

傷病手当金だけでは住宅ローンは払えなかった

傷病手当金は、給与のおよそ3分の2が支給される制度だ。

ありがたい制度ではある。でも「3分の2」という数字は、聞こえより厳しい。住宅ローンを払いながら、4人の子どもを養い、食費・光熱費・保険料・学校関連費を出す。それを給与の3分の2でまかなうのは、我が家の場合は不可能だった。

さらに、傷病手当金は申請から振り込みまでに時間がかかる。会社への申請、健保組合への書類提出、審査。最初の振り込みが来るまでの間、収入はゼロだ。その期間をどう乗り切るかも、事前に考えておく必要がある。

当面の対応は、自分の貯金を切り崩すことだった。さらに、妻にも貯金を切り崩してもらった。妻がコツコツと貯めていたお金だ。それを使わせてしまったことへの申し訳なさと情けなさは、今でも忘れられない。でも選択肢がなかった。

ローンを滞納しなかったのは、事前に傷病手当金の見通しを把握していたからだ。休職前に会社の総務に確認し、支給額と支給開始時期を把握した上で「この期間は貯金で乗り切る」という計画を立てた。その確認をしていなかったら、もっと混乱していたと思う。

住宅ローンの借り換えを考えたが、できなかった

金利が上昇局面に入る中で、借り換えも選択肢として頭に浮かんだ。

他行に借り換えることで金利が下がれば、毎月の返済額を減らせる。試算してみると、条件によっては総返済額が数十万円単位で変わることもわかった。特に変動金利でローンを組んでいる場合、金利上昇の影響は無視できない。

でも実行できなかった。

借り換えの手続きには体力と思考力がいる。複数の銀行のローン条件を比較し、問い合わせをして、書類を集め、審査を受ける。単純作業ではなく、判断が伴う複雑なプロセスだ。ICU入院後の後遺症で、複雑な手続きを進める思考力と体力が戻っていなかった。

「やりたいけどできない」という状態が続き、結局借り換えは見送った。今も完全には手をつけられていない。ただ、並行して進めてきた投資のリターンが住宅ローン金利の上昇分を上回っている状態になっているため、今のところ急ぐ必要性を強くは感じていない。資産全体で見たときにプラスが維持できているうちは、借り換えよりも投資を継続することを優先している。


住宅ローンの見直しを考えるなら

休職中に痛感したのは「住宅ローンの固定費がいちばん重い」ということだった。収入が落ちたとき、ローンの条件を見直すことを検討する人も多い。複数の金融機関を一括で比較できるモゲチェックは無料で使えて、今の借り入れ条件との比較ができる。借り換えの余地があるかどうかを確認するだけでもやっておいて損はない。

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休職中にローンを払い続けるための現実的な対策

実際に経験した立場から、同じ状況になったときに役立つことをまとめる。

①まず傷病手当金の見通しを把握する

休職が決まったら、真っ先に会社の総務や人事に「傷病手当金はいつから、いくら支給されるか」を確認する。支給開始まで待期期間(3日間)があり、実際の振り込みまでにさらにタイムラグがある。スケジュールを把握しておくことで、貯金の切り崩し計画が立てやすくなる。

「傷病手当金で生活できる」と思っていても、最初の1〜2か月は収入がない状態が続く可能性がある。その期間分の現金を確保しておくことが、最初の危機を乗り越える鍵になる。

②銀行に相談するという選択肢を知っておく

ローンの返済が本当に厳しくなりそうな場合、銀行に相談すると返済条件の一時変更(リスケジュール)に応じてもらえるケースがある。元本の返済を一時停止して利息のみの支払いに切り替えるなどの対応だ。

私は実行しなかったが、これは選択肢として知っておくだけで精神的な余裕が違う。「最悪でも銀行に相談できる」という安心感が、焦りを和らげてくれる。滞納してから相談するより、厳しくなる前に相談するほうが、銀行側も対応しやすい。

③団体信用生命保険の内容を確認する

住宅ローンには通常、団体信用生命保険(団信)が付いている。死亡・高度障害の場合にローンが免除される基本的なものだが、特約によっては「がん」「三大疾病」「就業不能」などで保険が発動するものもある。

私はICU入院を経験した後に改めて団信の内容を確認した。自分の状況が保険の対象になるかどうか、加入している内容を把握することは重要だ。特に就業不能特約を付けていれば、休職中のローン返済がカバーされる可能性がある。ローンを組んだときの書類を引っ張り出して、確認してみてほしい。

④住居確保給付金の存在を知っておく

知っている方は少ないかもしれないが、「住居確保給付金」という制度がある。離職や休業などで収入が減少し、家賃の支払いが困難になった方を対象に、一定期間の家賃を自治体が支給する制度だ。

住宅ローンの場合は対象外になることが多いが、賃貸住まいの方には活用できる制度だ。自治体の窓口(自立相談支援機関)に相談すると詳細を教えてもらえる。こういった公的制度を知っておくことで、最悪の事態を回避できることがある。

住宅ローンを抱えながら休職して、今思うこと

ローンがあることへの不安は、休職中ずっとあった。でも「ローンがあったから頑張れた」という側面もある。

「返さなければいけない」という義務感が、「早く回復しなければ」という動機になった。良し悪しはある。プレッシャーが体に悪影響を与えることもある。でも私にとっては、ローンの存在が回復への意欲を支えた部分がある。

また、休職を経て家計全体を見直したことで、お金の流れを「見える化」する習慣ができた。毎月の支出と収入、ローン残高と資産のバランスを数字で把握することで、漠然とした不安が具体的な課題に変わった。課題になれば対策が立てられる。家計管理のツールを使って妻と毎月共有することが、今の安定につながっている。

さらに、投資を始めたことでローン金利への対抗手段ができた。定期貯金中心だった資産を、NISAや投資信託に一部移した。今は住宅ローン金利の上昇分を上回るリターンが得られている状態で、「ローンがある=損をしている」ではなく「ローンと投資を組み合わせて管理している」という感覚に変わっている。

休職前にやっておけばよかったこと

実際に休職してからではなく、「休職するかもしれない」と感じた時点でやっておけばよかったことがある。

一つは、緊急予備資金の確保だ。生活費の3〜6か月分を、すぐに引き出せる口座に分けて持っておく。投資に回していると急には引き出せない。貯金と投資のバランスを意識しておくことが、いざというときの対応力につながる。

もう一つは、収入が止まったときの固定費を一覧にしておくことだ。住宅ローン・保険料・光熱費・通信費・教育費。これを月額で並べておくだけで、「収入がなくなったら月に最低〇〇万円必要」という数字が見えてくる。その数字を把握しているだけで、休職に踏み切る判断が冷静にできる。

健康は突然損なわれる。私がICU入院を経験するまで、「自分がそうなる」とは思っていなかった。でも誰にでも起こりうる。「もしも」を想定した準備は、早いほど選択肢が増える。

お金の不安と向き合い続けた1年半

休職中、お金の不安は体の不安と同じくらい精神的な負荷になった。毎月の引き落とし日が来るたびに残高を確認し、「あと何か月持つか」を計算する日が続いた。

その経験から言えることは、「数字を直視することから逃げないほうがいい」ということだ。怖いから見ない、ではなく、怖いからこそ正確に把握する。現状を知ることで、初めて「どこを削れるか」「どこに相談できるか」という選択肢が見えてくる。

今は家計管理ツールとスプレッドシートを使って毎月の収支を妻と共有している。ローン残高と資産残高を並べて見ることで、「今は大丈夫」「ここは見直しが必要」という判断が感情ではなく数字でできるようになった。この習慣は、休職という経験がなければ身についていなかったと思う。

まとめ

住宅ローンが残ったまま1年半休職した経験から、まとめる。

  • 傷病手当金は給与の約3分の2。ローンと生活費をまかなうには貯金の切り崩しが必要だった
  • 妻の貯金にも頼った。一人で抱え込まず、パートナーと状況を共有することが大切
  • 借り換えは検討したが体力・思考力がなく断念。体調が戻ってから検討でも遅くはない
  • 銀行への相談・団信の確認は、厳しくなる前に行動しておくと選択肢が増える
  • 家計の見える化と投資の組み合わせが、ローンへの不安を「管理できる課題」に変えた

住宅ローンを抱えながら休職することになったとき、最初にすべきことは「今の数字を紙に書き出すこと」だ。傷病手当金の予想額、貯金残高、毎月の固定支出。それを並べるだけで、漠然とした不安が少し整理される。数字は怖い。でも、知らないままのほうがもっと怖い。

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