賃貸マンションから建売住宅に引っ越した。子ども3人が走り回る2LDKの限界。管理組合からのポストイン。それが引っ越しの理由だった。
引っ越して6年。子どもたちの生活は確実に変わった。良いことも、想定外のことも。戸建てでの子育てのリアルを記録する。
自分のスペースを見つけた子どもたち
戸建てに引っ越して一番変わったのは、子どもたちが自分の居場所を持てたことだ。
2LDKのマンションでは、全員がリビングに集まるしかなかった。遊ぶのもリビング、勉強もリビング、ケンカもリビング。プライベートな空間がなかった。
戸建てでは、子どもたちが自分の居心地のいい場所を見つけて過ごすようになった。長男は自由な性格で、自分の部屋にこもって好きなことに没頭する。次男は真面目にリビングで勉強する。長女はマイペースに階段の踊り場で絵を描いている。
それぞれが自分のペースで過ごせる空間がある。
面白いのは、4人とも居場所の選び方が違うこと。長男は自由、次男は真面目、長女は自由、三男も自由。その性格がそのまま居場所に反映される。真面目な次男はリビングのテーブルで勉強するが、自由な長男は自分の部屋のベッドの上でタブレットに向かっている。どちらが正解ということではない。自分の居心地のいい場所を選べること自体が大事なのだと思う。これは賃貸の2LDKでは絶対にできなかったことだ。
走り回れる自由|「静かにしなさい」が減った
マンション時代、毎日何十回も言っていた言葉がある。「走らないで」「ドンドンしないで」「静かにしなさい」。
戸建てに引っ越してから、この言葉がほとんどなくなった。走り回っても階下に迷惑がかからない。ジャンプしても苦情が来ない。子どもたちの表情が明らかに変わった。のびのびしている。
特に末っ子は、生まれた時から戸建てなので、マンションの窮屈さを知らない。走り回るのが当たり前。大声を出すのが当たり前。「静かにしなさい」と言われる経験がほとんどない。上の3人は「前のマンションでは走れなかったんだよ」と末っ子に話している。末っ子は不思議そうな顔をしている。この環境の違いが、兄弟間の性格の違いにも影響しているのかもしれない。
親のストレスも減った。「また苦情が来るかも」というプレッシャーがなくなった。子どもを叱る回数が減ると、親子関係も良くなる。
マンション時代は、子どもたちに「やってはいけないこと」を教える場面が多かった。「走るな」「跳ぶな」「大声出すな」。否定の言葉ばかりだった。戸建てでは「思いっきり遊べ」と言える。肯定の言葉が増えた。この違いは大きい。
庭はないが、玄関前のちょっとしたスペースで水遊びができる。夏はビニールプールを出す。マンションのベランダではできなかったことだ。子どもたちにとっての「夏の思い出」が変わった。
近所に同年代の子どもがいるのも良かった。マンションでは顔を合わせる程度だったが、戸建ての住宅街では子ども同士が自然と遊ぶようになった。放課後に「ちょっと遊んでくる」と出ていく。マンション時代にはなかった光景だ。これは引っ越して一番良かったことだ。
4人目が家を荒らす問題
想定外だったこともある。4人目の末っ子が、家の中を荒らすことだ。
おもちゃを出しっぱなし。クレヨンで壁に落書き。飲み物をこぼす。上の子たちが片づけたそばから散らかす。マンション時代は部屋が狭かったから散らかる範囲も限られていたが、戸建ては広い分、散らかるスケールも大きい。
誰かが家に来る予定でもないと、本格的に片づける気が起きない。なぜなら、片づけた瞬間から散らかり始めるから。これは戸建て×幼児の宿命だと諦めている。
壁の落書きは特に困る。最初は怒っていたが、何度拭いても新しい落書きが増える。ある時から「まあ、いつかリフォームする時に塗り替えればいいか」と開き直った。持ち家だからこそできる開き直りだ。賃貸なら退去時の原状回復費用が頭をよぎって、とても開き直れなかっただろう。
子どもの落書きも、10年後には「あの頃は小さかったな」と笑い話になるはず。そう思うことにしている。
賃貸では無理だったこと
戸建てで子育てしていて、「これは賃貸では無理だった」と思うことがたくさんある。
家の中の落書き。壁に絵を描かれても、自分の家だから怒りの度合いが違う。賃貸なら原状回復費用が頭をよぎるが、持ち家なら「まあいいか」で済む(ちょっと済まないが)。
走り回る音、ケンカの声、もちろん怒る親の声も。マンションなら全部苦情の対象だ。戸建てなら、よほど大声でない限り近隣には聞こえない。
部屋数の問題も大きい。2LDKでは親のプライベートがゼロだった。戸建てなら、子どもたちが寝た後に夫婦でリビングでゆっくりできる。子どもたちが大きくなれば、それぞれの部屋も必要になる。4人分の個室は、賃貸ではほぼ不可能だ。
親のプライベートも重要だ。マンション時代は、子どもが寝た後にリビングで小声で話すのが夫婦の時間だった。戸建てなら、2階で子どもたちが寝ていれば、1階で普通の声量で会話できる。夫婦の意識のすり合わせも、この時間があるからこそできる。
子どもたちが思春期に入れば、個室の重要性はさらに増す。着替え、勉強、友達との電話。プライベートな空間がないと、子どものストレスが溜まる。今はまだ全員で一部屋だが、成長に合わせて部屋割りを変えていく予定だ。部屋数に余裕があるのは、戸建てを選んだ理由の一つだ。
リモートワークのスペースも確保できた。マンション時代はリビングの隅にPCを置いて仕事をしていた。子どもが走り回る横で会議に出る。マイクをミュートにして叫び声が入らないようにする。あの苦労がなくなっただけでも引っ越した価値がある。
今は2階の一角にデスクを置いて、仕事用のスペースを確保している。完全な個室ではないが、子どもたちの声はリビングほど近くない。昼の仮眠も自室のベッドで取れる。働き方と住まいは密接につながっている。
戸建てを買った時はリモートワークのことなんて考えていなかった。でも結果的に、コロナ後のリモートワーク時代にぴったりの環境になった。完璧な条件は来ないと書いたが、予想外のメリットは来ることがある。
6年住んで思うのは、家は「建物」ではなく「思い出の器」だということ。子どもたちが走り回った音、壁の落書き、ケンカの声、笑い声。すべてがこの家に染み込んでいる。賃貸では残せなかった家族の歴史が、ここにはある。
子どもたちが「この家で育った」と言える場所。それは数字では測れない価値だ。住宅ローンはまだ29年残っている。重い。でも、毎月のローン返済は、この家に家族の歴史を刻み続けるための対価だと思えば、払い続けられる。
戸建てに引っ越して、子どもたちの生活は変わった。そして、自分の生き方も変わった。この家があるから、独立後も家で働くという選択肢が現実的になった。住まいは、人生の基盤だ。
戸建てのデメリット|掃除と維持の大変さ
もちろんデメリットもある。
広い分、掃除が大変だ。2LDKなら30分で終わる掃除が、戸建てだと1時間以上かかる。慢性疲労がある自分にとって、掃除は重労働だ。週末に自分の両親に来てもらい、掃除を手伝ってもらうこともある。
住宅ローンに加えて、固定資産税、修繕費、庭の手入れ。賃貸にはなかったコストがかかる。でも、子どもたちがのびのび暮らせることを考えれば、このコストは許容範囲だ。
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子育て世帯が戸建てを選ぶべき理由
すべての家庭に戸建てを勧めるわけではない。でも、子どもが2人以上いるなら、戸建ては検討する価値がある。
騒音を気にしなくていい自由。部屋数の余裕。子どもの成長に合わせた空間の使い方。これらは賃貸では得にくいものだ。
完璧な条件は来ない。でも、子どもたちがのびのび暮らせる環境は、お金では測れない価値がある。我が家は引っ越してよかった。6年経った今、改めてそう思う。
子どもたちが成長して、いずれこの家を出ていく日が来る。その時、走り回った跡、壁の落書き、階段の傷が残っている。それは子どもたちがここで育った証拠だ。戸建てを買ったのは、その証拠を残すためでもあったのかもしれない。
リモートワークで家にいる時間が長い今、この家で子どもたちの成長を間近で見られることが、何よりの幸せだ。
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この記事は戸建てでの子育てに関する個人の体験記録です。
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