「あ、終わった」
画面を見た瞬間、そう思った。
アクセスが急落し、収益が止まった。Googleのアルゴリズムアップデート。私が独立の柱にしていたアフィリエイトサイトが、一夜にして飛んだ。
独立した理由|土日も仕事の限界
当時、保険代理店で働いていた。
3人目の子どもが生まれた頃、働き方に限界を感じていた。土日も仕事。家族との時間が取れない。子どもの成長を見逃している感覚があった。
会社に相談した。「家庭の事情で働き方を見直したい」と。
返ってきたのは冷たい返事だった。
その頃、副業でアフィリエイトをやっていた。収益も出始めていた。「これを本業にできるかもしれない」と思い、個人事業主として独立した。
妻は心配していたが、顔に出さない努力をしていた。それは後になって聞いた話だ。
アフィリエイトで月35万を稼いでいた頃
独立後、アフィリエイトに全力を注いだ。
ジャンルはサプリ系。ダイエットサプリ、美容サプリ、健康食品のレビューや比較記事が中心だった。特に売れていたのは「○○サプリ 口コミ」「○○ 効果 本当」といった検索意図に応える記事。実際に自分で試して、写真を撮って、体感をレポートした。
月に10記事以上を書いた。すべて手動。一記事一記事、リサーチして、構成を考えて、自分の手で書いた。
最高月収は35万円。平均でも25万円。家族5人の生活を支えるには十分とは言えないが、自分の力で稼いでいる実感があった。
独立してからの1日はこうだった。朝5時に起きて、家族の朝ごはんを準備する。妻と一緒に保育園の送迎をして、家に戻ったらPCに向かう。昼過ぎに保育園のお迎え。夜ごはんを作って、子どもたちを寝かせた後、またPCに向かう。
会社員時代にはなかった自由があった。自分のペースで動ける。ただし、すべてが自分の責任だった。記事を書かなければ収入はゼロ。サイトを育てなければ未来もない。
それでも、家族と過ごす時間を確保しながら働けることが嬉しかった。保険代理店時代の土日出勤とは真逆の生活。これを続けたいと本気で思っていた。
Googleアップデートが来た日
ある日、いつものようにアクセス解析を確認した。
数字がおかしい。アクセスが激減している。前日まで普通だったのに。
収益も止まった。アフィリエイトの管理画面を開いても、発生件数がゼロ。
Googleのアルゴリズムアップデートだった。
サプリ系のサイトはYMYL(Your Money or Your Life)に該当する。健康や医療に関わるジャンルは、Googleが特に厳しく評価するようになっていた。
月に10記事以上、すべて手動で書いてきた。何百時間もかけて育てたサイトが、Googleの判断一つで消えた。
ものすごくショックだった。絶望感しかなかった。
「Amazonの倉庫で働こうか」
収入がゼロになった。
家族5人を養わないといけない。貯金はあるが、いつまでも持つわけではない。
貯金を切り崩す生活が始まった。毎月の固定費――住宅ローン、保険、子どもの教育費。出ていくお金は変わらないのに、入ってくるお金がゼロ。通帳の残高が減っていくのを見るのが怖かった。
すぐに妻に相談した。「Amazonの倉庫で働こうか」と。
妻は言った。「大変だよ、やめといたほうがいいよ」と。
冷静だった。パニックになっている私に対して、妻は落ち着いていた。振り返ると、あの時の妻の一言で少し冷静さを取り戻せた気がする。
サイト復旧に費やした半年間
まずはサイトの復旧を試みた。
記事をリライトした。構成を見直した。できることは全部やった。
だが、そもそもYMYLに引っかかったことが原因だった。サプリという健康ジャンルで、医療の専門家でもない個人が書いた記事を、Googleが上位に表示しなくなった。
どれだけリライトしても、根本的な問題は変わらない。半年かけて、それを理解した。
サイトは継続した。でも、これだけで食べていくのは無理だと判断し、転職活動に切り替えた。
転職活動|2か月で決まった奇跡
転職活動を始めた。
金融業界での経験とアフィリエイトの経験。この掛け合わせを活かせる会社を探した。
幸運だった。2か月目で決まった。
独立時代にはサイトを10個くらい作った。1か月で100記事書いたこともある。フリーのライターとしても仕事を受けていた。競合他社のライターをやっていたこともある。
面接では、これらの経験を包み隠さず話した。アフィリエイトの実績も、Googleアップデートでサイトが飛んだことも。隠す理由がなかった。むしろ、この経験があるからこそ、SEOやWebマーケティングの実務がわかる。
IT企業の募集要項が、自分のスキルセットとぴったりマッチしていた。後から聞いた話では、募集2名に対してすでに2名の採用が確定していたらしい。
だが、私のプロフィールを見て「会いたくなった」と言ってくれた。そして、採用された。
人の縁で転職が続くパターンは、20代の頃から変わっていない。あの時も、縁に助けられた。
Googleに依存するリスク
この経験から学んだことは一つ。
一つの収入源に依存するのは危険だ。
特にGoogleに依存するアフィリエイトは、アルゴリズムの変更一つで収入がゼロになるリスクがある。自分の努力や能力とは関係なく、プラットフォームの判断で消える。
だからこそ、今は収入源の分散を意識している。会社員としての給与、アフィリエイト、NISA。一つが倒れても、他で支える構造を作る。NISAを始めた理由にも、この経験が影響している。
それでもアフィリエイトをやめなかった理由
サイトが飛んでも、アフィリエイト自体はやめなかった。
会社員に戻ってからも、副業として続けた。ジャンルを変え、やり方を変え、今は不動産系のアフィリエイトサイトを運営している。
なぜやめなかったのか。
たぶん、自分の手で何かを作って、それが誰かの役に立って、その対価としてお金をもらう。この流れが好きだからだと思う。
会社員としての安定した収入があるからこそ、リスクを取ってアフィリエイトを続けられる。独立していた頃にはなかった余裕がある。
55歳独立に向けて
今、55歳での独立を考えている。
あの時の失敗を繰り返さないために、今度はストック型の収入を複数持った状態で独立する。アフィリエイトだけに頼らない。一つが倒れても生きていける構造を作る。
コロナICUの経験から「いつ死ぬかわからない」と知った。だからこそ、会社に依存し続けるのではなく、自分の足で立ちたいと思っている。
Googleアップデートでサイトが飛んだあの日。あれは最悪の日だったが、同時に、自分の生き方を考え直すきっかけにもなった日だった。
▼ あわせて読みたい
- コロナICUで死にかけた話|デルタ株で肺がつぶれた日
- 「強いパパ」でいられなくなった日
- HbA1cを7.1から6.1に下げた方法|50代糖尿病の食事管理記録
- 40代からNISAを始めた理由|FXで70万飛ばした元FP2級の資産形成記録
- 建売住宅を買った理由|賃貸マンションで子育ての限界を感じた日
- 「お金の見える化」を夫婦で始めたら喧嘩が減った話|FP2級の家計管理術
- 55歳独立に向けたストック型収入の作り方|体が動かなくても収入が止まらない仕組み
- 50代の人生後半戦メディアを立ち上げた記録|「後半戦のいっぽ」ができるまで
- 子ども4人の父親をやってわかったこと|50代パパの子育て記録
- コロナ後遺症で復職したが半年で再休職した話|15分しかもたない体で働くということ
- 友達に保険を売った結果、友達が減った話|元保険営業マンの後悔と気づき
- 収入激減時に家計をどう守ったか|自分の支出を削り、妻に200万借りた話
- ChatGPTとClaude Codeの使い分け|コロナ後遺症の50代が毎日AIに助けられている話
- 妻が心配を顔に出さなかった話|大黒柱は2本ある
- 緑内障と診断された日|自覚症状がないから怖い病気
- 子ども4人の教育費|月10万円のリアルな内訳と捻出方法
- 50代で住宅ローンが残っている現実|繰り上げ返済しない理由と向き合い方
- リモートワークが命綱になった話|コロナ後遺症で出社できない50代の働き方
- 副業アフィリエイトで月25万を稼ぐまでにやったこと|2年間の全記録
- 慢性疲労症候群と付き合いながら働くということ
- 「家族運営」という考え方|夫婦で同じ方向を向くために
- FP2級を取って10年|本当に役に立ったのは結婚してからだった
- 戸建てに引っ越して子どもの生活が変わったこと
- 「いつ死ぬかわからない」から始める独立準備
- 休職1年間で学んだこと|止まっている時間にこそ次の一歩がある
- 大家族のごはん事情|子ども4人の食事を毎日作る50代父の記録
- 50代で老後資金が不安な人がまずやるべき3つのこと
- 退院後に待っていた「普通の生活」の壁
- 子ども手当をつみたてNISAに回すと18年でいくらになるか
この記事は個人のアフィリエイト経験に基づく記録です。

