建売住宅を買った理由|賃貸マンションで子育ての限界を感じた日

建売住宅を買った理由|賃貸マンションで子育ての限界を感じた日 住まい

子ども3人が走り回る音。管理組合からのポストイン。2LDKの限界。

賃貸マンションでの子育てに限界を感じ、建売住宅を買った。注文住宅ではなく建売を選んだ理由、1年かけた物件探し、そして購入後に気づいたことを記録する。

2LDKで子ども3人|賃貸マンションの限界

もともと2LDKのマンションに住んでいた。夫婦と子ども2人。幼児が2人いる時点ですでに手狭だったが、なんとかやっていた。

そこに3人目が生まれた。

3人の子どもがバタバタと走り回る。追いかけっこ。おもちゃの取り合い。泣き声。笑い声。幼児にとっては当たり前の日常だが、マンションではそうもいかない。

特に夕方から夜にかけてが気を使った。子どもたちが一番元気な時間帯と、階下の住人が静かに過ごしたい時間帯が重なる。「ドンドンしないで」「飛び跳ねないで」。注意するたびに子どもたちの表情が曇る。のびのび遊ばせてあげたいのに、それができない。親としてのジレンマだった。

防音マットを敷いた。厚手のカーペットも買った。それでも、子どもが全力で走れば音は響く。根本的な解決にはならなかった。階下への音が常に気になった。「走らないで」「ジャンプしないで」。毎日同じことを言い続ける日々。子どもたちも窮屈そうだった。

管理組合からのポストイン|子育て世帯の肩身の狭さ

定期的に管理組合からポストインがあった。「子どもが走り回る音が散見されます」と。

名指しではない。でも、うちのことだとわかっていた。

もともと子育て世帯が多いマンションだった。完全リフォーム済みで、割安。駅近の好物件。気に入っていた。

だが、子どもが3人になった今、この環境で子育てを続けるのは家族にとっても近隣にとっても限界だった。好物件を手放す決断をするしかなかった。

注文住宅か建売か|いい物件はあっという間に売れる

最初は注文住宅も検討した。自分たちの理想の間取りで、自分たちの家を建てる。それが理想だった。

だが、現実は甘くなかった。

当時、不動産需要が増えていた。建売も並行して見ていたが、いい物件はあっという間に売れていく。先週見学した物件が、今週にはもう契約済み。そんなことが何度もあった。

注文住宅は土地探しから始まり、設計、施工と時間がかかる。子どもたちはどんどん大きくなる。マンションでの生活も限界に近い。時間をかける余裕がなかった。

注文住宅を諦めたわけではない。ただ、目の前の現実として、建売の方が早く新しい生活を始められた。

1年間の物件探し|県外まで見に行った日々

物件探しは約1年かかった。

部屋数と予算。この2つを軸に、県外も含めて多くの物件を見た。週末のたびに家族で内見に行く。子どもたちを連れて、車で何十分もかけて見知らぬ街へ。

「ここはいいかも」と思っても、予算オーバー。予算内の物件は、部屋数が足りない。この繰り返しだった。

内見では毎回、同じポイントをチェックした。部屋数は足りるか。リビングとキッチンの動線はどうか。夫婦で料理しやすいか。洗濯物は干しやすいか。日当たりはどうか。階段はどこにあるか。子ども部屋はどこに作れるか。

条件が多く当てはまる物件はあった。だが、いいなと思った物件はどんどん売れていった。「来週もう一度見に来よう」と思っていたら、翌日には契約済み。何度も悔しい思いをした。

この経験から学んだのは、住宅購入は「考える時間」が贅沢品だということ。特に人気エリアでは、迷っている間に売れる。完璧を求めすぎると何も買えない。

最終的な決め手は3つ。部屋数が十分なこと。周辺環境が静かなこと。そして予算内に収まること。理想を100%満たす物件はなかったが、この3つが揃っていれば十分だと判断した。

住宅ローン|35年変動金利・頭金なしの選択

住宅ローンは35年の変動金利。頭金なしのフルローンで組んだ。

頭金を貯めてから買う、という選択肢もあった。だが、その間も家賃は払い続ける。子どもたちは成長する。マンションでの生活は限界。待っている間にいい物件が売れていく現実も見てきた。頭金を貯める時間と、今の家賃と、子どもたちの成長。すべてを天秤にかけた結果、今すぐ買うことが最善だと判断した。待つ理由がなかった。

変動金利のリスクは理解していた。FP2級を持っているから、金利上昇のシミュレーションもした。それでも、当時の金利水準と家計のバランスを考えると、変動金利が現実的だった。

保険業界にいた経験とFP2級の知識は、住宅ローンの判断に役立った。金利の仕組み、返済シミュレーション、団信(団体信用生命保険)の内容。これらは自分で理解できた。営業マンの説明をそのまま信じるのではなく、自分で計算して納得した上で契約できたのは大きかった。

正直、住宅ローンの選択肢は当時そこまで多くなかった。今ほどネット銀行の住宅ローンも一般的ではなかったし、比較できる情報も限られていた。あの時できる最善を選んだ、としか言えない。


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入居半年でコロナに罹患|自宅隔離ができた幸運

今思えば、家を買うタイミングは幸運だった。

入居してわずか半年後、コロナに罹患してICUに入った

もし2LDKのマンションのままだったら、自宅内での隔離は不可能だったかもしれない。部屋数があったからこそ、家族と距離を取りながら隔離生活ができた。

家を買った理由は子どもの騒音問題だったが、結果的にコロナ禍を乗り越えるための土台にもなった。何が幸いするかわからない。

引っ越し当日|子どもたちの興奮

引っ越し当日は夜までかかった。

疲れているはずなのに、子どもたちのテンションは上がっていた。自分たちの部屋ができること。3人一緒の部屋だが、それでも「自分たちの部屋」があるというだけで大興奮だった。2階があることにも興奮していた。マンションには階段がなかったから。

「やっぱり広いなー」と子どもたちは言った。本当は特別広い家ではない。でも、2LDKのマンションから来た子どもたちにとっては、十分に広かった。

夫婦としても、ここがこれからの家なのだという実感が湧いてきた。この場所で子どもたちが育ち、家族の時間が積み重なっていく。荷物だらけのリビングで、妻と顔を見合わせて「やっと来たね」と言った。

持ち家の安心感|住めば都

入居して6年が経った。

一番感じるのは、持ち家がある安心感だ。家賃を払い続ける不安がない。子どもたちが走り回っても、階下を気にしなくていい。自分たちの家がある、という事実そのものが心の支えになっている。

子どもたちが走り回っても、もう誰にも迷惑をかけない。「静かにしなさい」と言う回数が激減した。庭があるわけではないが、マンション時代に比べれば格段に自由だ。子どもたちの表情が変わった。のびのびしている。それだけで、引っ越してよかったと思える。

そして、両親の援助なしで買えたこと。これは自分にとって大きかった。家族を養い、自分の力で家を持つ。男として、大人として認められた感覚があった。

「こうすればよかった」は、考えないようにしている。住めば都。考えても仕方がない。完璧な家はどこにもない。今の家で、家族と暮らせていることが一番大事だ。

今、近所の物件価格は当時の2倍

最近、近所で売り出している物件の価格を見て驚いた。当時の約2倍になっている。

物価高騰と不動産需要の影響だ。建材費の高騰、人件費の上昇、そして都市部への人口集中。あらゆる要因が重なっている。

もし今買おうとしていたら、同じ家は買えなかっただろう。同じ予算では、もっと狭い家か、もっと遠い場所になっていたはずだ。あの時「待てない」と判断して動いたことが、結果的に家族を守った。

住宅購入にベストなタイミングなんてわからない。私の場合は、「子どもが走り回って限界だった」というだけの理由で買った。それが結果的にいいタイミングだった。

迷っている人に伝えたいのは、完璧な条件は来ない、ということ。

私も1年間迷った。何十件も見た。理想の家は見つからなかった。でも、「これなら暮らせる」と思える家は見つかった。100点の家ではなく、70点の家で十分だった。残りの30点は、住みながら埋めていけばいい。部屋数、予算、タイミング。どれかが揃えば、それが買い時なのかもしれない。

50代で住宅ローンが残っている現実

50代になった今も、住宅ローンは残っている。35年ローンだから当然だ。

不安がないと言えば嘘になる。体調の問題もある。いつまで働けるかわからない。NISAでの資産形成を始めた理由にも、住宅ローンの存在がある。

コロナ後遺症で休職した時期は、住宅ローンの支払いが重くのしかかった。収入が減っても、ローンは待ってくれない。傷病手当金でなんとか凌いだが、あの時は本当に不安だった。

それでも、この家を買ったことに後悔はない。子どもたちがのびのびと暮らせる場所を作れた。それだけで、あの決断は正しかったと思っている。

老後もこの家に住み続けるつもりだ。子どもたちが巣立った後、夫婦2人には広すぎるかもしれない。でも、子どもたちが帰ってこられる場所があるということ。それ自体に価値がある。

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この記事は個人の住宅購入経験に基づく記録です。

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